今回は株式投資における「ナンピン買い」について解説します。
株式投資を始めたばかりの方にとって、「ナンピン買い」という言葉は一度は耳にしたことがあるかもしれません。
「安くなったら買い増しすれば、平均取得単価が下がるから得だ」と聞いて、魅力的に思えるかもしれませんが、実はこの戦略には大きな落とし穴も存在します。
そこで本記事では、初心者でも理解しやすいナンピン買いの基本的な考え方ややり方、具体的な成功事例や注意点等について詳しく解説していきます。
個別銘柄で積極的に利益を狙いたい方は、ぜひご覧ください。
ナンピン買いとは?平均取得単価を下げるための戦略
ナンピン買いとは、保有している株の株価が下落した際に追加で買い増しを行うことで、平均取得価格を下げる投資手法です。
たとえば、ある銘柄を1000円で購入したものの、その後株価が800円に下がった場合、同じ数量を800円で買い増しすると、平均取得単価は900円になります。
株価が元の1000円まで戻れば、買い増しをしなかった場合より早く利益を出せる、という考え方です。
このように、「いずれは株価が戻るだろう」と信じて下落時に買い増すのがナンピン買いの基本的な考え方です。
初心者がナンピン買いに手を出す理由
ナンピン買いは、一見すると「損失を早く取り戻せそう」「安く買えてラッキー」と思えるため、初心者がついやってしまいがちな戦略です。
実際にSNSや投資系のブログなどでもナンピン買いの成功体験談はよく見かけますし、「株価が下がった時はチャンス」という考え方も浸透しています。
しかし、ナンピン買いには大きなリスクが潜んでいることを理解していないと、思わぬ損失を被ってしまう可能性もあるため注意が必要です。
ナンピン買いのメリットやデメリット・リスクは必ず事前に把握したうえで投資判断を行いましょう。
ナンピン買いのメリット
ナンピン買いが有効なケースもあります。主に次のような状況です。
業績や将来性に問題がない一時的な下落の場合
短期的な決算ミスや、地政学的リスクによる一時的な市場全体の下落など、「本質的な企業価値は変わっていない」と判断できるケースも珍しくありません。
こうした状況では、ナンピン買いで利益を狙えるチャンスも十分あります。
長期保有が前提である場合
将来的に株価の回復が見込める銘柄に対し、数年単位で保有する覚悟があるなら、ナンピン買いによる平均取得単価の低下はメリットになります。
長期的な視点であれば、基本的に株価はその企業の実力に比例して上昇するため、損失リスクも抑えた投資が可能です。
ナンピン買いのデメリットとリスク
初心者が最も注意すべきポイントは、ナンピン買いには失敗したときのリスクが非常に大きいということです。
下落トレンドが続くと損失が膨らむ
下落したタイミングで買い増しを行い、さらに株価が下がれば、保有株数が増える分、含み損も大きくなります。
結果的に、損切りの判断がますます難しくなるという悪循環に陥りがちです。
資金拘束が強まる
ナンピン買いを繰り返すと、手元の資金が徐々に減り、新しいチャンスに投資できなくなる可能性があります。
資金管理が甘いと、ナンピンを続けた挙句に余力がなくなり、反発したときに売れない状況に陥る可能性も否定できません。
本質的な銘柄選定の甘さを助長する
ナンピンを前提とした買い方は、「最初のエントリー判断が甘くても後からなんとかなる」という錯覚を招きやすく、投資判断が雑になってしまうこともあります。
ナンピン買いが有効になる条件
では、ナンピン買いを成功させるにはどうすれば良いのでしょうか?以下の条件を満たす場合に限り、有効な戦略になり得ます。
☑買い増す理由が明確で、感情的でないこと
☑資金管理(ポジションサイズ)が徹底されていること
☑トレンドが終了する兆しがあること(テクニカル面)
このように、単なる「安くなったから買う」という行動ではなく、戦略的な根拠が伴ってこそナンピン買いは有効に機能し、リスクも抑えることができます。
ナンピン買いで多くの投資家が儲けた成功事例
【任天堂】一時的な期待剥落からの回復
任天堂は、Nintendo Switchの販売がピークを迎えたと見なされた2021年以降、株価が調整局面に入りました。
当時は「次の成長エンジンが見えにくい」との見方が広がり、2021年6月頃に6万円台だった株価は、2022年3月には4万5千円前後まで下落しました。
ただし、業績自体は堅調で、売上や利益水準は高く、財務的にもキャッシュリッチな優良企業と呼べる状態でした。
そのため、「過度に売られすぎている」と判断した投資家が、5万円を割り込んだタイミングで買い増しに動いたことでナンピンが有効に機能しました。
その後、『ゼルダの伝説』シリーズの新作発売や映像作品との連動によって株価は回復し、2023年には5万円台後半まで戻る展開となりました。
ファンダメンタルに問題がなかったことと、コンテンツ資産の強さを信じてナンピンを実行した投資家が報われた典型的な例です。
【オリエンタルランド】短期的な不安がもたらした割安チャンス
オリエンタルランドの株価は、2019年後半から2020年初頭にかけて大きく調整しました。
将来的な来場者数の鈍化懸念や業績への不安が一時的に強まり、1万6千円台から1万円近辺まで大きく値を下げました。
しかし、同社はディズニーブランドを活用した高収益なビジネスモデルを維持しており、長期的な成長余地には依然として期待が持たれていました。
下落局面で「この水準は割安」と判断した一部の中長期投資家は、1万円を下回るタイミングでナンピン買いを実行。
その後、来場者数が回復傾向に入り、2021年には再び1万6千円台まで株価が戻る展開となりました。
短期的な業績の不安に惑わされず、企業価値に着目して投資判断をしたことで、ナンピン買いが利益に結びついた好例と言えるでしょう。
【ソニーグループ】一時的な懸念を乗り越えた大型銘柄
2018年から2019年にかけて、ソニーグループの株価は世界的な景気減速懸念やエレクトロニクス事業への不安を背景に大きく下落しました。
具体的には、2018年10月頃に7,200円前後だった株価が、2019年1月には4,200円台まで下がりました。
しかし、ソニーはすでにゲーム・音楽・金融といった収益性の高い事業を複数展開しており、業績全体としては堅調さを保っていました。
特に、PlayStation関連事業や映像・音楽コンテンツの拡大が評価される可能性が高いと見た投資家の中には、この4,500円近辺の水準で買い増しを行い、ナンピンを仕掛けたケースもあります。
その後、業績の安定成長が再び注目されるようになり、株価は回復基調に転じ、2020年以降には1万円を超える水準まで上昇しました。
短期的な懸念が先行して割安に放置されたタイミングをうまく活用した、ナンピン成功の代表例です。
ナンピン買いとドルコスト平均法の違い
初心者にありがちな誤解のひとつに、「ナンピン買いってドルコスト平均法と似てるのでは?」というものがあります。
確かにどちらも取得単価を平準化する手法ですが、大きく違うのはその購入タイミングの意図です。
ドルコスト平均法:定期的に“機械的に”一定額を投資する手法
つまり、ナンピンは判断とリスクが常に伴い、投資判断の精度が求められます。一方、ドルコスト平均法は感情を排除でき、初心者にも向いているとされる手法です。
ナンピン買いを検討する前に学ぶべきこと
もしあなたがナンピン買いを試みようとしているなら、以下のことを改めて学ぶことを強くおすすめします。
☑テクニカル分析(トレンドや反発の兆しを読む力)
☑資金管理術(リスク許容度に応じたポジション管理)
☑損切りルールの設計(感情で売らない判断基準)
ナンピンはハイリスク・ハイリターンの側面を持つため、知識と経験が伴ってはじめて活かせる戦略なのです。
また、事前に設計した投資ルールを徹底して判断するという冷静さもリスクを抑えるためには欠かせません。
【まとめ】ナンピン買いは「知識」と「ルール」があってこそ使える武器
ナンピン買いは、決して悪い戦略ではありません。むしろ正しく使えば、優位に立てる場面も多く存在します。
しかし、「損を取り戻したいから」という感情で手を出すのは非常に危険です。
とくに初心者のうちは、ナンピン買いよりも計画的なエントリーと明確な損切りルールを重視した投資を心がけたほうが、結果として損失も少なく、安定したパフォーマンスにつながるでしょう。
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